役割基準の人財マネジメント

組織と個人の成長をつなぐ仕組み

ナブテスコは、長期ビジョン「イノベーションリーダー」の実現に向け、社員一人ひとりが挑戦し、会社とともに成長できる企業文化の醸成を目指しています。その基盤となるのが「役割基準」の人財マネジメントです。

役割基準の人財マネジメントとは、会社が事業戦略に基づいて必要な組織と役割を定義し、社員はその役割に応じた価値を提供することで、市場価値に即した魅力ある処遇を実現するための仕組みです。これは「役割(仕事)」を介して会社と社員の関係性を構築し、企業価値の持続的向上とキャリア実現の両立を図ることを目的としています。この取り組みの核となるのが、2024年に導入したジョブ型要素を反映した新人事制度です。2025年からは一般職にも新人事制度を展開し、全社的に役割型人事制度を運用しています。

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ポジションマネジメント – 戦略ドリブンの組織・ポジション設計

役割基準の人財マネジメントは、事業戦略と人財戦略を連動させ、必要な組織やポジションを戦略ドリブンで機動的に設計し、最適な人財を配置するための仕組みです。組織設計は全社共通の組織設計ルールに基づく運用を徹底し、職能的な運用(=実在者ありきの組織編成)に陥らないよう、組織階層に応じて全社または事業部門単位でチェック・牽制を行うことで、役割ベースの運用を徹底しています。

ポジション設計は、管理職については、全社共通のメソドロジーにより役割の大きさを測定し、ポジションごとに等級や報酬を決定しています。同じ役職呼称であっても、事業戦略の達成に向けた役割の大きさに応じて異なる等級や報酬水準を設定します。一般職も管理職ほどの粒度ではないものの、役割に応じて等級・報酬水準を定義しており、年齢や勤続年数などの属性に左右されない一貫した仕組みとしています。
さらに、管理職は各ポジションの期待役割やポジション就任に必要な能力・経験を記載したJob Description(JD)を作成しています。これにより、適所適材の人財配置やポジション就任に向けた計画的な育成等、ポジション基点の人財マネジメントが可能となりました。また、人事評価を通じて能力やコンピテンシーのギャップを明らかにし、自律的な学び・成長を支援することで、一人ひとりが描くキャリアパスの実現を後押ししています。

報酬マネジメント – 役割・貢献に報いる仕組み

管理職・一般職の制度改定に合わせ、ジョブ・役割基準の報酬制度を導入しました。役割や貢献に対して市場価値に基づきタイムリーかつ適正に報いることを重視し、競争力ある魅力的な報酬の提供に取り組んでいます。その一環として毎年外部の報酬サーベイに参加し、ベンチマークデータを踏まえて報酬水準の妥当性・競争力を検証するとともに、制度の継続的な見直しを行っています。また、人事異動により役割が変わった場合には、新たな役割に応じて報酬水準を即時改定し、役割と報酬の連動を徹底しています。一方で、会社主導の戦略的異動によって報酬変動が現職者のモチベーション低下につながらないよう、公平性を担保しつつ制度運用に柔軟性を持たせています。

非正規社員については正社員とは異なる制度を設けていますが、正社員の報酬水準(外部ベンチマークに基づく)を参照しつつ、同一労働同一賃金の原則に基づき適正な水準を設定しています。また、産業別最低賃金とは別に、自社独自の最低賃金ルールを設け、セーフティーネットを確保しています。

パフォーマンスマネジメント – 成果と風土を育む

役割基準の人財マネジメントの中核となるのが、パフォーマンスマネジメントです。肝要なのは、ポジションごとに期待される役割を明確にし、その遂行度合いを適切に評価することです。管理職は、各ポジションの役割や貢献の仕方の違いを踏まえ、組織を率いて目標達成を担う「ラインマネジメント」と、高度な専門性を活かして経営課題の解決を推進する「プロジェクトリード」の2つの職群に再定義し、各ポジションの貢献領域を明確化しました。また、目標設定および評価において、役割に基づく評価運用を徹底しています。評価は単なる個人の処遇決定のためではなく、社員が自身の役割を正しく理解し、成長へとつなげる機会として位置づけています。Job Description(JD)や役割等級定義に基づく目標設定、レビュー、評価を通じて、社員は役割への期待を自覚し、組織としても役割遂行を着実に支える仕組みを整えています。

加えて、ナブテスコではチームベースのパフォーマンスマネジメントの仕組みを導入しています。社内基準に基づき、各事業部門のパフォーマンスを財務・非財務の両面から評価することで、チームベースの協働意識を高めるとともに、評価結果を個人の処遇(賞与)へ反映させる仕組みとしています。これにより、個人の成果とチームの成果をバランスよく評価し、透明性・公正性・納得感を担保しつつ、組織全体での成果創出を促進しています。

さらに、役割を全うするための基盤として、1on1やタウンホールミーティング、エンゲージメントプログラムなどのコミュニケーション施策を推進しています。現場の声を吸い上げ、働きがいや協働意識を高めることで、評価制度の運用と相まって、社員一人ひとりが期待される役割を果たしやすい職場環境をつくり出しています。このように、パフォーマンスマネジメントは評価運用の徹底を軸に据えつつ、コミュニケーションやエンゲージメント施策を組み合わせることで、役割遂行を確実にし、成果と成長の双方を支える仕組みとなっています。

役割基準の人財マネジメントは、「ポジション」「報酬」「パフォーマンス」の三位一体の仕組みにより、社員の挑戦を後押しし、組織の持続的成長を実現します。私たちは、役割基準の人財マネジメントを深化させ、一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、社会とともに成長する企業を目指していきます。