BCPの取り組み

方針

BCP(ビジネスレジリエンス)基本方針

ナブテスコグループは、大規模災害などによる事業の停止や供給サービスの長期中断といった重大インシデントが発生した場合、被害を最小限にとどめ、事業や供給を速やかに再開するため、工場を中心とした主要な事業拠点のBCP強化および調達先(サプライヤー)のBCP支援に取り組んでいます。

ナブテスコグループのBCPは、以下を基本方針としています。

  1. 1.事業継続の基本要件となる人命の安全確保
  2. 2.速やかな事業再開により当社の供給責任を果たす
  3. 3.被災拠点の自治体や周辺地域と協力し、災害の復旧・復興に努める

事業継続計画(BCP)においては、組織の強靭性を確立し、不断の改善を通じてそのレベルを継続的に向上させていくことが重要です。当社では、BCPを「ビジネスレジリエンス(事業の回復力)」として位置づけ、その実現に向けた取り組みを推進しています。

「BCPの自律化」

多様な事業を擁するナブテスコグループでは、現在、事業拠点単位でBCPを実践し、ここ数年で自律型のBCPが定着し安定軌道に乗りました。
最初の拠点でBCPが始動して15年が経過し、徐々に形骸化が進んできため、従来の「ガイドライン踏襲型のBCP」から、個々の事業の特性や現場の実態に即した現場現実型に方針転換しました。その結果、現場が活性化し「BCPの自律化」に奏功しました。
その後、社内で培ったBCP自律化の経験、情報、ノウハウ等を調達先のサプライヤーに展開し、サプライヤーと連携したBCP活動に大きくシフトしています。
レジリエントな企業基盤は、真のBCPとサプライチェーンの強靭化によってこそ築かれます。私たちは今後も、現場主導の実践を通じて、その実現に挑み続けます。

体制

BCP実行体制

ナブテスコグループは、生産(ものづくり)の根幹となる調達(ものあつめ)に事業継続の軸足を置いた組織体制で、調達主導型のBCPを実行しています。事業の特性や現場の実態に即した実効性のあるBCPを実現するため、2016年7月以降、本社ものづくり革新推進室 調達統括部に設置の「BCP総括事務局」が、工場等主要な事業拠点に配置された各BCP事務局と連携し、現場自律型のBCPを実現するとともに、全社を統括して組織全体の底上げを図っています。
また、BCP総括事務局は、各事業拠点の調達部門と連携し、サプライヤーのBCP支援にも取り組み、サプライチェーンの強靭化と強固なサプライヤーの育成を推進しています。

BCP実行体制図

取り組み

ナブテスコ独自のBCPを実践

ナブテスコグループでは、レジリエントな企業基盤の構築を経営マテリアリティの1つに掲げています。不測の危機に対応する組織能力を確保し底上げするため、現実対応に役立つ「実効性」、現場主導の「自律型」、いつまでも続けられる「持続化」の3つの基本性能を有している点に当社の独自性があります。また現場の負担軽減に配慮した「スマートBCP3.0」を提唱し、その普及に務めています。「スマートBCP3.0」とは、拠点別・サプライヤー別にBCPの実装を最短最速で完了し、支援実績を積み重ねながら効果を検証する、ナブテスコ独自のBCP支援手法です。

BCPビジョン
業界トップの強靭企業

図

ナブテスコが実践するBCP

図

1. 教育訓練ベースの能力向上型BCP

ナブテスコでは、BCPの社員教育、人財育成に最も注力しています。危機発生を前提にした現場での対応訓練、その反復が組織を強くすると認識し、危機管理意識能力を高める社員教育を行っています。 ナブテスコでは、BCPは「事業継続計画」の略称、BCP(Business Continuity Plan)のPlan(計画)を「Power(能力)」に読み替え「事業継続力」(Business Continuity Power)と、独自に再定義しました。計画づくりを目的とせず、危機対応能力の獲得、事業継続能力の向上を目的としたBCPに転換しました。
そして、危機対応力と組織の迅速な行動を実現するため、各拠点の組織力強化と社員の危機管理意識向上を目的に、年1回、教育訓練を実施しています。
また、内閣官房が主管する「国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)」制度を活用し、主要事業拠点での認証取得を積極的に進めてきました。2019年11月には、国内の9工場すべてが認証を取得し、2024年末時点ではグループ全体で13拠点が取得を完了しています。これにより、ナブテスコグループは認証取得数最多企業としての実績を維持しています。

2. サプライヤーBCP支援活動

レジリエントな企業基盤の構築には、強靭なサプライチェーンの整備が不可欠であり、これは重大な経営課題の一つです。生産活動の継続には、ものあつめの調達が生命線であることから、当社では調達主導による「調達BCP」を実践し、生産の継続につなげ供給責任を果たしています。
調達BCPは、調達継続力を高めるための取り組みであり、その中核にはサプライヤーへのBCP支援があります。当社は、独自に培ってきたBCPの知見とノウハウを活かし、サプライヤー向けに研修や訓練などを通じた支援を行い、サプライヤー各社の事業継続力・供給継続力の強化を図っています。 また、中小企業におけるBCP普及を目的とした「中小企業強靭化法」に基づく「事業継続力強化計画」認定制度も活用しています。
その他に、サプライヤーが自社の特性に合わせて取り組める「スマートBCP」の展開を進め、「レジリエンス認証」の取得を目標とする企業の支援を推進しています。

2024年までにサプライヤー40社のレジリエンス認証取得を目標に掲げ、上記の取り組みを進めた結果、2024年末時点で42社が認証を取得し目標を達成しました。

サプライヤー向けBCP支援社数とレジリエンス認証取得支援数と取得社数の実績

  2022年 2023年 2024年
BCP支援社数【累積】 30社 42社 60社
レジリエンス認証取得支援社数【累積】 24社 31社 42社

3. BCP指導人財の育成

ナブテスコグループは中小企業を含むBCPに取組む十分なリソースが無いサプライヤーへも手厚くBCPの支援を行っています。
そのために2019年より、サプライヤーとの取引窓口である各事業部の調達部門から1名の参加者を募り、BCPの知見を有し一定の支援スキルを獲得したバイヤーを養成するユニークな3日間の「BCPバイヤー」研修プログラムを毎年開催しています。この研修で得た実践スキルを、現場で実習、教育訓練を実施し、サプライヤーへのBCPの指導・支援を行っています。