環境マネジメント

考え方・方針

ナブテスコグループ環境理念・環境行動指針

ナブテスコグループは、持続可能な社会を実現するための社会的責任を認識し、グループ全体で活動を推進するため『環境理念』『環境行動指針』を定めています。昨今、環境問題がますます深刻化する中で、グループ全体でより最近の状況に対応した環境マネジメントを推進することを目的に、目指すべき姿、取り組むべき環境課題や適用範囲等を明確に規定する形で、2022年10月に『環境理念』『環境行動指針』を経営会議での承認、取締役会への報告を経て、全面的に改定いたしました。これらに基づく活動状況を取締役会は定期的に報告を受け、運用状況を監視・監督しています。

制定 2005年5月  
改定 2022年10月

ナブテスコグループ環境理念

ナブテスコグループは、すべての事業活動が地球環境に依存し、影響を与えているという認識のもと、バリューチェーン全体で十分に環境に配慮し、持続可能な社会の実現を目指します。

ナブテスコグループ環境行動指針

当社は、持続可能な社会を実現するために、地球環境保全が重要なテーマであると捉え、事業が環境に与える影響を最小限に抑えることにより企業の社会的責任を果たすことを約束します。このために実施する環境マネジメントはすべてのステークホルダーと連携して継続的に実行します。また、環境行動指針を事業活動のプロセスに組込み、環境活動の目標達成を追求し、継続的な改善に取り組みます。
この環境行動指針は、すべての役員・社員に適用され、役員・社員はこれを理解・賛同し、目標達成のための取組みに積極的に参加する責任を担います。

1. 環境課題解決への取組み

  1. (1)気候変動対応
    脱炭素社会を実現するため、環境配慮型製品の提供や製造での温室効果ガスの削減に取り組みます。また、取引先での省エネルギー化の推進等を通じてバリューチェーン全体で気候変動対応に取り組みます。
  2. (2)水資源保全
    事業活動を行う地域の水資源を保全するため、地域課題を理解した上で、水利用量削減、適正な水質管理、有害物質の流出防止に取り組みます。
  3. (3)廃棄物削減・省資源
    循環型社会の構築に貢献するため、基本原則である3R(Reduce, Reuse, Recycle)に基づき、事業活動によって発生する廃棄物の削減及び天然資源消費の削減に取り組みます。
  4. (4)汚染防止
    大気汚染、排水に伴う水質及び土壌の汚染、有害物質を含む廃棄物排出等を防止するため、化学物質の管理を行うとともに削減・代替を推進します。
  5. (5)生物多様性保全
    事業活動を行う地域の生物多様性を保全するため、バリューチェーン全体における生物多様性への影響を評価した上で、適切な措置を実施し、進捗管理を行います。

2. 環境マネジメント

事業活動による環境リスクを評価・特定し、これらを回避・低減するための目標設定と達成のための活動を推進します。目標達成に向けた活動状況をモニタリングして必要に応じて改善します。

3. 事業活動に伴う環境負荷の低減

  • 製品のライフサイクルにおける環境への影響を把握した上で、環境負荷の小さい環境配慮型製品の開発・設計に努めます。
  • 製品製造においては、環境先進技術を積極的に採用または工夫することにより、環境負荷の低減に努めます。
  • サプライヤーや委託会社等の取引先に対して、社会的・環境的に責任ある事業活動を要請するとともに、改善に向けた取組みを支援します。

4. 環境関連の法規制遵守

事業を展開するすべての国・地域での環境関連の法規制や社会的規範等を遵守するとともに、必要に応じて各拠点での自主管理基準を設定し、環境保全に取り組みます。

5. 環境教育

事業が環境に与える影響を理解するために環境教育を実施し、すべての役員・社員の環境意識の向上・啓発に努めます。

6. 社会との交流・連携及び環境情報開示

すべての役員・社員や株主、取引先、顧客、地域住民などの社内外のステークホルダーの環境意識を高めるために、社会との交流・連携を通じて、社会活動等への参画を積極的に推進します。環境情報開示では、目標と指標を明確に示し、定期的に進捗状況を開示します。

体制

ESH推進体制

当社グループでは、環境および安全・健康に関する社長直轄の推進機関である「ESH委員会」(年1回以上開催、事務局は環境安全部)を設置し、環境マネジメントを推進しています。委員長および委員は取締役を含む役員から任命されます。
ESH委員会は、気候変動に係るリスク、機会を含めた環境・安全・防災・衛生等に関する重要な情報を収集し、重要性の評価および重要と評価された事案への対策について審議しています。審議結果において事業に重要な影響を及ぼすと考えられる事案については、業務執行上の重要事項を審議するマネジメント・コミッティに報告され、事業戦略決定に反映されます。

ESH管理組織

ESH管理組織

取り組み

ESH監査

ESH委員長は、年に1回、各事業所を巡回してESH監査を実施し、ESH活動状況の確認と指導を行っています。事業活動のプロセスの中でも、特に問題が発生しやすい工程やエリアを調査することや、排出するものの種類、実績等をモニタリングすることで、対応策の立案や改善活動に繋げています。この監査結果やESH活動の成果報告をESH委員会で取りまとめ、年度末に役員会議でのレビューを経て、翌年度の活動につなげています。

主な監査項目

  • 各事業所のESH活動方針・体制
  • 法令遵守事項の対応状況
  • 規程・基準の整備状況
  • 気候変動への対応状況(緩和:CO2(排出量・削減量)、適応:猛暑・風水害対策)
  • 水使用量
  • 廃棄物排出量
  • 汚染対策(大気・土壌・水質、化学物質使用量)

2023年度のESH監査実績は下表のとおりです。環境に配慮した計画を立案する指導などを行っています。

2023年度のESH監査実績

監査名 監査の概要 監査者 監査実績
ESH監査Ⅰ 【巡回監査】前年度活動実績と今年度活動計画の確認
環境負荷低減の活動・対策状況の確認
ESH委員長
カンパニー社長
環境安全部長
ナブテスコ:6事業所
グループ会社:7社
フォロー監査 【巡回監査】ESH監査Ⅰの指摘事項の対策状況確認 環境安全部
(ESH事務局)
ナブテスコ:6事業所
グループ会社:7社
ESH監査Ⅱ 【書類監査】ESH活動実績(年度末見込み)の確認
必要に応じて現地監査実施
環境安全部
(ESH事務局)
ナブテスコ:6事業所
グループ会社:7社

また、海外のグループ会社に対してもESH管理体制を構築すべく、活動を開始しています。業務の可視化・効率化を目的として、規程や記録類の文書整備、環境情報管理ツールの導入を進めています。さらに、法令違反の防止、ESH活動成果の維持・向上のため、ESH監査を実施しています。2023年度はタイのグループ会社の2社に対してESH監査を実施し、2024年度に北米のグループ会社3社にESH監査を実施する予定です。

海外グループ会社へのESH監査状況

年度 監査対象
2019年 北米のグループ会社3社
2021年 欧州のグループ会社3社
2022年 中国のグループ会社の7社
2023年 タイのグループ会社2社

環境マネジメントシステム

当社グループは、国際規格ISO14001を環境マネジメントに有効なツールとして捉え、環境マネジメントシステムの構築・運用に活用しており、主要な拠点はISO14001の認証を取得しています。

なお、ISO14001の認証を取得していない国内グループ会社については、ESH監査の中で環境マネジメントの状況を確認しています。中国をはじめ海外グループ会社についても、同様の確認を実施しています。

当社グループでは、“エコロジー”と“エコノミー”が融合した仕組みの定着を目指しています。事業所・グループ会社間の情報の共有化や協調を推進することで、グループ全体の活動の方向性や一貫性を維持しています。また、活動の成果を継続的に高めるために、環境貢献達成度(CO2排出量削減)を各事業部門の業績評価へ組み込んでいます。

環境マネジメントシステム認証取得状況

認証範囲 取得規格名
住環境カンパニー 甲南工場および本社 ISO14001
舶用カンパニー 西神工場(パワーコントロールカンパニーおよび鉄道カンパニーの一部を含む) ISO14001
鉄道カンパニー 神戸工場 ISO14001
精機カンパニー 津工場 ISO14001
航空宇宙カンパニー 岐阜工場 ISO14001
パワーコントロールカンパニー 垂井工場 ISO14001
ナブテスコオートモーティブ(株)山形工場 ISO14001
PACRAFT(株)岩国工場 ISO14001

当社グループにおける50人以上の人員が所属する製造拠点(22拠点)のうち、12拠点がISO14001認証を取得しているため取得率は55%です。

エネルギー管理と省エネルギーの取り組み

環境情報管理ツールを導入し、各事業所からの環境情報の報告頻度を月次で収集、集計、分析し、目標値と実績値の差を翌月に把握して、素早いアクションにつなげています。

また、エネルギー使用量をリアルタイムで把握(確認・集計)するモニタリングシステムをナブテスコ単体の全工場に導入しています。異常値の検出や過去の実績との比較検討を容易に行うことが可能となっており、各工場の月例会議(環境委員会、エネルギー分科会、省エネ委員会)などで活用して社員全員で省エネ活動を推進しています。
こうした活動実績や分析データは、毎月執行役員会で報告され、改善が必要な場合にはトップダウンで対応が取れる体制となっています。

2023年度は、エリア別使用電力の見える化や、改善提案、対策実施を行い省エネに取り組む活動と、好事例の横展開に継続的に取り組みました。また、省エネ空調・高効率機器への更新、LED照明化やエア漏れ撲滅活動等により、当社グループ全体で年間約1,259tonのCO₂排出量削減を行いました。

環境教育・啓発

当社グループでは、環境についての意識高揚をはかるため、エネルギー、CO2、水、廃棄物、化学物質削減などにかかわるさまざまな教育を実施しています。新入社員教育では、環境への取り組み内容、活動成果を示し、一人ひとりの活動の小さな積み重ねが環境負荷低減への大きな力となることを説いています。

また、各事業所のESH担当管理職、担当者を対象に省エネ委員会等を開催し、最新のESH関連情報や重要な法改正情報の周知徹底を行っています。

研修受講者数(単位:人)

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
省エネ委員会 74
(4回開催)
50
(3回開催)
128
(4回開催)
122
(4回開催)
166
(4回開催)
  • 対象者:ESH担当管理職、担当者

環境に関する法令遵守

当社グループでは、事業活動に適用される環境に関する法規制を特定し、登録・管理しています。また、登録された情報が最新であることを定期的に確認し、法令違反の発生を防止しています。さらに、RoHS、REACH規制等、製品に対する各種の法令・規制についても、顧客の要求に応じ、適切に対応しています。加えて、使用する化学物質については、製品開発、製造などのあらゆる段階で安全性に関する詳細な評価を行っています。今後は、このアプローチをその他の製品にも拡大する予定です。

万一法令違反が生じた場合は、定められている報告要領および様式でESH委員長に報告し、迅速に対応することができる体制となっています。

環境・安全アセスメント

当社グループは、製品の研究開発から生産、販売、使用、廃棄に至る過程で、「環境・安全アセスメント」を実施しています。このアセスメントにより、提供する製品の安全性を保証し、有害物質の不使用に努めています。

イニシアチブへの参画

ナブテスコグループは、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの環境経営分科会をはじめ、環境保全に関わる各種団体活動に参画しています。環境経営分科会においては、「気候変動」「水リスク」「生物多様性」「エネルギー」といったテーマで、NGOや有識者からの情報収集や異業種を含む多様な企業との情報共有や討議を行っています。

また、日本の企業、自治体、NGOなどが参加する「気候変動イニシアティブ」(Japan Climate Initiative, JCI)の活動にも参画しています。

イニシアチブとの積極的な連携や対話を通じて先進的な取り組み等の情報収集を行い、環境マネジメントの深化に役立てています。