自転車のギアのように回転力を力に変える機構が減速機です。精密減速機を産業用ロボットに搭載することにより、ロボットは重いものを運んだり、加工することができるようになります。産業用ロボットに求められるのは衝撃に強く、滑らかで正確な動きを実現すること。ナブテスコでは衝撃に強い波型のペリトロコイド歯車を採用し、約3mの産業ロボットの先端の動きの誤差を、わずか0.1mmに抑えることを可能にしています。
産業用ロボットの関節用途として、国内、海外のロボットメーカーの信頼を得て、高いシェアを維持しています。精密減速機のさらなる用途拡大により、新たなマーケットへの進出を図っています。
ナブテスコは「NABCO」や「GILGEN」というブランドで自動ドアのグローバル事業展開を行っています。1956年に国産第1号の自動ドアを発売以来、現在では国内市場シェアの約55%を占めています。また、鉄道駅の安全性向上に貢献するホームドア事業では「NABCO」「GILGEN」が日本や香港の各駅、パリの地下鉄など主要路線で採用され、世界シェア約20%を誇っています。
自動ドアで見かけたことがある人も多いはず。おなじみのロゴ。
オフィスやショッピングセンターなど、さまざまな場所に設置されている、当社の自動ドア。
駅のプラットホームにも、当社のホームドアが設置されています。
ナブテスコはパワーショベルや大型クレーン車など「働く車」の走行ユニットを製造しており、とくにパワーショベル用走行ユニットでは世界シェア約25%を誇るトップメーカーです。またミニショベルや農業機械を操作するコントロールバルブでも開発をリードしており、例えばアームの「水平を保ったまま上昇させる」動きを簡単に行えるようにするなど、建機の操作性向上を支えています。
パワーショベルの走行ユニットでは、国内市場はもとより、中国をはじめとする新興国などでも高い評価を獲得。小型から大型までラインナップをそろえ、幅広い用途に対応できる強みで、さらなる市場拡大を目指しています。
航空機の三次元の動きを正確にコントロールするのが「フライト・コントロール・アクチュエーション・システム」で、国産機においてはナブテスコが100%のシェアを確立しています。同システムは機種の上げ下げを行う昇降舵、機首を左右に向ける方向舵、機首を左右に傾けるための補助翼、ブレーキの役割を担うスポイラーなどをトータルに制御し、油圧の力で動かす仕組みです。
フライト・コントロール・アクチュエーション・システムは、国産機において約100%のシェアを確立しているほか、フライ・バイ・ワイヤー方式では、B777をはじめとするボーイング社の航空機においてトップシェアを獲得し、市場での確固たるポジションを築いています。
ナブテスコは1925年に国から鉄道のエアブレーキ装置を初受注して以来、1世紀近くにわたり高信頼のブレーキシステムを供給し続けてきました。現在はブレーキシステムの中枢をなす「ブレーキ制御装置」や新幹線車両の「ドア開閉装置」、新幹線N700系車両がカーブを曲がる際に車体を適切に傾ける「車体傾斜電磁弁装置」などを提供。海外においても中国や台湾を中心にブレーキ装置やドア開閉装置を供給しています。
主力のブレーキシステム製品、ドアシステム製品をはじめ、各種試験装置、ブレーキシュー、シート回転装置、ポイント除雪装置などを国内・海外市場へ提供。国内のブレーキシステム製品は約50%、ドアシステム製品は約60%を占有。N700系新幹線ではすべての車両にナブテスコのドア開閉装置が採用されています。
厳しさを増す船舶の環境規制への対応として、ナブテスコが注力するのがディーゼルエンジン電子制御システムの開発。この技術の核をなすのはナブテスコの「電子制御高速油圧バルブ」で、燃料噴射・排気弁を最適に制御することにより燃費向上に貢献しています。またこのほかにも船舶の制御室から遠隔でエンジンを操作する主推進機遠隔操縦装置、電子制御高速油圧バルブの動きを見守るGAPセンサーなどを供給しています。
舶用エンジン遠隔制御システムは、国内約50%、世界約40%の市場シェアを持っています。舶用機器事業は、グローバル・サービス・ネットワークを有しており、アフターサービスを背景に海外市場のシェア拡大を目指しています。