トップメッセージ

OUR VALUE 価値創造につながる製品づくりと技術力の強化、ステークホルダーの皆さまとのより一層の信頼関係構築をめざします。代表取締役社長 小谷 和朗

2015年3月期を振り返って

売上高・利益ともに期首に掲げた目標数値を上回り、全般的に好調に推移

2015年3月期の連結業績は、売上高2,196億5千7百万円(前期比8.6%増)、営業利益236億1千5百万円(同17.5%増)、経常利益271億9千3百万円(同12.2%増)、当期純利益177億4千6百万円(同18.5%増)となりました。
 売上高・利益ともに期首に掲げた目標数値を上回り、全般的には好調に推移しましたが、事業環境の変化の速さが感じられた1年であり、セグメント別の営業状況では予想以上に伸びた分野と、遅れの見られる分野が相まみえる形となりました。
 精密機器事業は、産業用ロボットの精密減速機を中心に市場が成長し、その需要へ適切に対応したことにより受注高・売上高の拡大を果たしました。利益面も、円安による海外調達部品のコスト増を増収効果と生産改革によってカバーし、3割を超える増益となりました。
 輸送用機器は、MRO(Maintenance, Repair, Overhaul)ビジネスの積極展開が奏功し、受注高・売上高は市場の成長を上回る伸びを示しました。また、舶用機器は国内外造船所での潤沢な手持ち工事量に伴う売上増およびMRO拡販により利益面にも寄与しました。全セグメントとしては、約8割の大幅増益をもたらしました。

  • 売上高構成比(2014年度)

    売上高構成比(2014年度)
  • 営業利益推移(百万円)/売上高営業利益率(%)

    営業利益推移(百万円)/売上高営業利益率(%)

 一方、低調が続いたのが航空・油圧機器事業における油圧機器の状況です。中国の建設機械需要が回復せず、現地工場の稼働が低下したことに加え、日本から中国へ供給する部品も落ち込み、減収・減益となりました。
 産業用機器事業は、メインの自動ドア事業が近年の積極的なM&Aにより規模を拡大しているものの、利益面では、M&Aにかかわる一過性の費用増や欧米におけるIT投資の先行により、減益となりました。
 なお、地域別の売上高を見ると、当期は全地域においてプラス成長を遂げることができました。アジア向けでは、前述の通り油圧機器の低迷に見舞われた中国で、鉄道車両用機器や舶用機器、精密減速機が伸び、これをカバーしました。北米向けおよびヨーロッパ向けは、精密減速機と自動ドアが増収を牽引しており、特に北米向けについては、航空機器の円安効果による売上増も加わって、2割を超える増収となりました。
 このように当期は、総じて、私たちグループがこれまで進めてきたポートフォリオ経営が好成果につながったと言えるでしょう。

中期経営計画
「Think Global! Act Local! For the Second Decade」
(2014年度~2016年度)の進捗状況

事業環境の変化を反映し、セグメント構成比は当初の計画と異なる見通し

当期から始動した3ヵ年中期経営計画“Think Global! Act Local! For the SecondDecade”は、最終年度の連結業績における「売上高2,800億円±5%」「営業利益340億円」を目標に掲げています。初年度の営業成果を踏まえ、これらについては達成の確度が高まっていますが、売上高と営業利益のセグメント構成比は、事業環境の変化を反映し、当初の計画と異なる見通しです。売上高では、精密機器事業の計画値660億円の中身として、太陽熱発電案件の立ち上げ遅れに伴う潜在案件数の減少により太陽追尾駆動装置売上が減少し、それをロボット用精密減速機の拡大が補う見込みです。また、航空・油圧機器事業の減少については、輸送用機器事業の伸びで補う見込みですが、営業利益の構成比は大きく変化すると見ています。

主要経営指標

主要経営指標

中期経営計画の達成に向けた方針と取り組み

精密減速機事業の成長の取り込みと、油圧機器事業の再構築

精密減速機事業では、産業用ロボット市場の中長期的な需要増が予測されています。特に省人化および自動化ニーズの上昇が著しい中国市場での成長を確実に取り込むため、2015年中での国内工場の能力増強に加え、2016年より中国新生産拠点の立ち上げにより、中長期的な需要増に備え安定供給体制を構築します。また、産業用ロボット以外の分野では、欧州・中国での新製品拡販により、新規市場の開拓にも注力します。
 一方、油圧機器事業は中国建機市場の低迷により業績が低調ですが、需要状況に沿った資産圧縮を実行することにより、事業の再構築と2016年からのV字回復を目指します。具体的には、上海電気グループとの合弁により油圧機器を製造してきた江蘇納博特斯克液圧有限公司を、もう一つの油圧機器製造拠点である上海納博特斯克液圧有限公司に集約し、生産体制を縮小します。
 そして江蘇納博特斯克液圧有限公司は、その資産(土地および建物)を精密減速機事業の新生産拠点として設立する納博特斯克(中国)精密机器有限公司に引き継ぎ、有効活用して いきます。
 また、油圧機器事業は、2015年4月1日付で株式会社ハイエストコーポレーションを買収し、同社が持つ幅広い油圧機器ラインアップを確保しました。将来的には、当社とハイエストの双方の技術を融合した油圧システムを投入し、市場に新たな付加価値を提供していきます。

中長期的な成長への期待

航空機器事業は2020年代前半に需要が倍増、鉄道事業は欧州市場への進出が着実に推進

民間航空機分野は今後20年間で2倍の航空機運用が見込まれています。当社は、Boeingと40年以上のビジネス関係を構築しており、2013年にはB737MAX, 2015年には次世代大型旅客機「777X」向けの「フライト・コントロール・アクチュエーション・システム(操縦制御システム)」のサプライヤーに選定されました。777Xは2020年の上市を予定しており、また、受注済みのB737MAX向けおよび三菱航空機(株)のMRJ※向けアクチュエーション・システムについても2017年上市を控えています。
 今後の成長に向けた動きとして、もう一つ挙げられるのが、鉄道車両用機器の展開です。当社は2014年12月、世界3大鉄道車両メーカーの1社であるBombardier Transportationから、日本初の「鉄道車両用運転室ドアおよび車内ドア」のグローバルサプライヤーに認定されました。また、2015年4月にSiemens AGよりフランス地下鉄向け車両の乗客用ドアを受注しました。当社は、イタリアのグループ会社であるNabtesco Oclap S.r.l.を活用し、欧州市場での事業展開を確実に行っていきます。
※MRJ:Mitsubishi Regional Jet

価値創造に向けた製品づくりと技術力の強化

先進分野の研究開発や製品開発プロセスの革新を加速

当期は、設備投資とM&A、研究開発を合わせて150億円の成長投資を実施しましたが、次期(2015年12月期、12ヶ月ベース)はこれを倍増し、300億円の成長投資を行う予定です。
 研究開発においては、これまでワシントン大学、デンマーク工科大学、スイス連邦工科大学など海外大学との共同研究を積極的に進めております。これら外部の研究機関との連携は、多様な技術の取り込みと開発スピード向上の追求が狙いであり、今後は、価値創造につながる技術をより強化すべく、先進分野の研究開発や製品開発プロセスの革新を加速していきます。グループ会社のシーメットの樹脂系3Dプリンターの製品開発プロセスでの活用はその一つですが、さらに、2015年7月より神戸工場内の「ナブテスコ デジタル・エンジアニアリングセンター」を京都リサーチパークに移転し、そこで金属系3Dプリンターを導入した次世代の製品開発への取り組みを開始しました。これにより、開発期間を大幅に短縮できる最先端インフラが整いました。
 当社は、製品の技術力と事業の多様性、そして長年にわたって蓄積した顧客との信頼関係を最大の強みとし、今後も、価値創造につながる製品を提供すべく、技術力を一層強化していきます。

長期ビジョンの達成を目指して

社内外のステークホルダーとのより一層の信頼関係構築

今後の基盤づくりの一つとして、優れた人材の獲得と育成が求められています。2012年5月に策定した長期ビジョンを達成するためにグループ一体となり、ナブテスコの価値観やナブテスコらしさを共有し、一人ひとりの行動の判断基準を合わせる必要があります。そのため、2012年に「ナブテスコ ウェイ」を策定し、その浸透を図っています。ナブテスコが大切にしてきたDNAを守り続けるのみならず、世の中の変化に迅速に対応し、常に努力をし続ける人材の育成を目指しています。
 さらに、株主・投資家の皆さま、お客さま、お取引先さま、事業を展開する地域社会などさまざまなステークホルダーとの信頼関係の構築と、グローバル企業としての社会的責任の遂行をより一層進めるため、当社は2014年4月に「国連グローバル・コンパクト」の趣旨に賛同し、これに署名しました。2014年度は、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークが主催するシンポジウムや複数の分科会に積極的に参加し、他企業との意見交換と当社のCSR(Corporate Social Responsibility)活動の推進に役立てています。
 ナブテスコグループは、長期ビジョンの達成を目指すとともに、ステークホルダーの皆さまとのより一層の信頼構築と価値創造に向けて、グループ一丸となってChallenge &Creationを実践してまいります。

トップメッセージ

冊子版PDFのダウンロード
TOP